米国IDSの内容的要件

IDSには下記(1)~(4)の4つを含める必要があります(37CFR1.98(a)本文)。特に(2)と(3)にご注意ください。
(1) 文献コピー(規則1.98(a)(2))
本発明の特許性に影響を与える可能性があると認識している全文献のコピーを提出する必要がある。
ただし下記は提出不要:
・米国特許文献(規則1.98(a)(2)(ii)
・既に提出された文献と実質的に同一の文献(対応外国出願など)。
但し、その旨を記載する必要がある(規則1.98(c))。
・継続出願等の親出願で適切に提出され、又は引用された文献。(規則1.98(d))
(2) 発明との関連性の簡単な説明(規則1.98(a)(3)(i), MPEP 609.04(a) III)
英語以外の文献を提出する場合は、その文献と発明との関連性についての「簡単な説明」(Concise Explanation of Relevance)を提出する必要がある。「簡単な説明」は明細書の中に記載しても良く(規則1.98(a)(3))、以下でもよい(MPEP 609.04(a) III)
・全文訳 【注意】対応英語出願には最も関連する個所が記載されていない恐れがあります。
機械翻訳は適切でない恐れがあります。
・文献の中のある図面又はパラグラフが、クレームされた発明に関連すると示す記載
・文献を引用した調査報告の英語版
・引例の特に関連する部分を指摘する記載が拒絶理由通知の中にあれば、その記載の訳
IP5の拒絶理由の機械翻訳はGlobal Dossierで簡単に取得でき、他の国の代理人は拒絶理由を英訳と共に通知します。そこで拒絶理由の訳文を併せて提出することをお勧めいたします。
(3) 既に入手可能(readily available)な英訳(規則1.98(a)(3)(ii))
IDSの為に文献を翻訳する必要は無い(規則1.98(c))。しかし特許庁で対応英語出願や機械翻訳を簡単に入手できるようになるにつれ、これらが「既に入手可能(readily available)」だったと主張される恐れが高まっています。
また権利行使の為にも、先行技術文献を予め審査官に十分に考慮してもらうことが好ましいです。日本の無効審判に相当するIPRで米国特許の半数が無効にされている現実(2021年2月)に鑑みれば、先行技術が十分に考慮された出願経過を作り、必要な補正も経て有効な権利を得ることが大切です。
Global Dossierの機械翻訳を併せて提出することをお勧めいたします。
(4) 文献のリスト(規則1.98(a)(1))
通常は米国の代理人が、提出前に作成してくれます。
明細書で言及した文献もリストには記載する必要があります。
記載内容(規則1.98(b))
米国特許の場合 :特許権者、特許番号、及び発行日
他の特許または特許出願の場合:国名、書類の番号、及び公開日
他の公開文献の場合 :著者、タイトル、関連ページの番号
公開年月(例外:MPEP 609)
及び公開された場所
ご不明な点がございましたら、どうぞご連絡ください。