新USPTO費用への対応策のご提案

2025.03.11
本年1月にUSPTO費用が大幅に上がりましたので、対応策を弊所Daniel Sherrと共に検討致しました。

1.継続出願の追加費用(新設)

継続出願を、米国での最初の正規出願の日 (EBD)から 6 年または 9 年経過後に行うと、それぞれ2,700ドルまたは4,000ドルの追加庁費用が課されます。
(PCT経由の場合はPCT出願日がEBDですが、日本出願やUS仮出願の日は関係がEBDでありません)
参考:Quick Reference Guide to the Continuing Application Fee

ご提案

  • 1.金額が大きい(約40万円、60万円)ので、EBDから6年/9年を期限管理し、必要であればこの期限前に継続出願を行うことをお勧めします。期限管理とリマインドをご希望の場合は、どうぞご連絡下さい。
  • 2.訴訟やライセンスの戦略として多数の継続出願を残したい場合は、同時期に出願された多数の米国特許出願を参照により組み込んだ1つの継続出願を作り、この1つの継続出願を出願中のまま維持することができます。ご関心がございましたら、詳しい情報をお送りいたしますのでご連絡ください。

  • 2.請求項費用(増額)

    独立項が3項または全請求項が20項を超えると、1項ごとにそれぞれUSD600、200の追加費用が生じます。

ご提案
1.米国では発明の単一性違反(restriction)が厳しいので、その恐れが大きければ3項を超える独立項を明細書に移動し継続出願により権利化を図ることをお勧めします。
2.ただし共通の上位概念を作れる場合には、新規性が無くても上位概念の独立項を設けて、それに従属させると(全請求項数が増えますが)独立項を減らすことができます。
3.20項を超える請求項は、明細書に移動したうえで、Office Action(以下、OA)応答時に一部請求項を削除する場合には、請求項へ書き戻すことで20項を維持することをお勧めします。

3.IDSの追加費用(新設)

IDSで提出された書類(Item)の、米国特許出願時からの総数が下記を超えると追加庁費用が生じます。Itemには、先行技術文献だけでなくOAやその訳文も含むので、しばしば下記の総数を超えます。
IDSの追加費用(新設)
ただし既に支払った追加庁費用は減じられるので、例えばItemが50を超えたときにUSD 200を支払うと、100を超えたときに支払う庁費用はUSD300になります。
参考:IDS size fee Quick Reference Guide

ご提案
1.外国の対応出願が提出済の文献を提出しないように注意する(内容が同じなら提出不要)。
2.アジア諸国から英語圏へ出願する時には内容がしばしば補充されますが、英語圏からアジアに出願するときに内容が補充されることはほぼありません。そこで対応する各国の出願文献の中で、英語の文献をIDS提出することをお勧めいたします。
3.OAで非英語文献が引用されたときにも、その文献の対応英語出願のみを提出し、引用文献との関係を補足説明する。 
4.OAとその翻訳文は、一つに合成して提出する。

以下の⑤⑥については、特許の用途(重要性)に応じて判断することをお勧めいたします。 
5.実施形態と発明者が(一部)共通する関連出願への引用文献は、本願にも関係する場合があり、拒絶理由への応答時に発明者が本願への関係性を認識する蓋然性も高いので本願へもIDS提出する方が安全です。しかしこのIDS提出を「関連出願の引用文献が本発明の特許性に影響し得ると、発明者等が認識した場合」に限定することもできます。
6.なお継続出願では、親で提出済みの文献を省くことができますが、省くと審査で考慮された文献として記録をされないので注意が必要です。
 
青字下線は、関連資料にリンクしておりますので必要に応じてご参照ください。
ご不明な点がございましたら、どうぞお気軽にご連絡ください。