【判例シリーズ】最判H3.3.8「リパーゼ事件」 解説動画

2024.06.20

リパーゼ事件の最高裁判決が出される以前から、裁判所は、特許権侵害訴訟での特許発明の技術的範囲(特70条)の解釈にあたり、請求範囲の文言のみならず、明細書や図面も参酌してきました。
しかし、リパーゼ判決が出てからというもの、この判決の考え方(「特段の事情がある場合に限って、明細書や図面を参酌しうる」との考え方)が権利範囲解釈の場面においても通用するのか、あるいは、あくまで特許要件判断における発明の要旨認定の場面でしか通用しないのか、についての争いが生じてきました。
そこで、かかる争いに終止符を打つべく、平成6年改正において、特許発明の技術的範囲の解釈(特70条1項)においては、特段の事情の有無を問わず、特許請求の範囲以外の部分(明細書、図面)を考慮して、特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈するものとする旨を明確にしました(特70条2項)。

つまり、端的にまとめると、以下の通りです。
・特許要件判断における発明の要旨認定の場面では、特段事情がある場合に限って、明細書・図面を参酌する(リパーゼ事件)。
・特許請求の範囲の記載に基づく権利範囲解釈の場面では、特段事情がある場合に限らず、明細書・図面を参酌する(特70条2項)。

引用出典:最判H3.3.8「リパーゼ事件」
昭和62(行ツ)3  審決取消  特許権  行政訴訟
平成3年3月8日  最高裁判所第二小法廷  判決  破棄差戻  東京高等裁判所

板書:最判H3.3.8「リパーゼ事件」


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