【訂正シリーズ】訂正の再抗弁(最判H29.7.10「シートカッター事件」等)解説動画

2024.06.13

侵害訴訟における「無効の抗弁」については、条文があります(特104条の3第1項)。
しかし、「訂正の再抗弁」については、条文がありません。
判例の積み重ね(東京地判H21.2.27、大阪地判H28.2.29等)により確立した抗弁と言えるでしょう。
これに一石を投じたのが最判H29.7.10「シートカッター事件」です。
「訂正の再抗弁」の3要件である、
①適法な訂正審判の請求等がなされていること
②訂正により無効理由が解消すること
③被告製品が訂正後の技術的範囲に属すること
のうち、要件①についてはどうなのか? つまり、
実際に訂正審判の請求等をしていることが必要か? ということが論点となりました。
最判H29.7.10では、無効審判を請求していなくても無効の抗弁ができることとの整合性を図るため、
訂正審判の請求等をしていなくても訂正の再抗弁ができると判示されました。
これにより、
①適法な訂正により、
(必ずしも訂正審判の請求等がなされている必要はない)
②無効理由が解消し、
③被告製品が訂正後の技術的範囲に属するならば、
訂正の再抗弁を主張できるということになります。

引用出典1:東京地判H28.3.25「筆記具のクリップ取付装置事件」
平成20(ワ)14859 特許権侵害差止請求事件 特許権 民事訴訟
平成21年2月27日 東京地方裁判所

引用出典2:大阪地判H28.2.29「棚装置事件」
平成25(ワ)6674 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟
平成28年2月29日 大阪地方裁判所

引用出典3:最判H29.7.10「シートカッター事件」
平成28(受)632 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟
平成29年7月10日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 知的財産高等裁判所

板書:訂正の再抗弁

関連動画:「訂正シリーズ」(特120条の5第2項、126条、134条の2、実14条の2)


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