【判例シリーズ】知財高判R5.5.26「コメント配信システム事件」 解説動画

2024.05.24

前回は、「国外サーバから日本のユーザに向けてのプログラム配信(本件配信)に日本国の特許権の効力を及ぼしても、属地主義に反しないか?(Ans)反しない。」をメインテーマとする知財高判R4.7.20「表示装置等事件」を扱いました。
今回は、「ネットワーク型システムの発明に関し、国外のサーバが国内の端末を動作させる行為が当該システムの『生産』に該当するか?」をメインテーマとする知財高判R5.5.26「コメント配信システム事件」を扱います。
本判例は、原告ドワンゴの特許権(特許第6526304号)に基づく侵害訴訟(被告:FC2及びHPS)です。
先ず第1審(東京地判R4.3.24)では、「被告システムは本件発明の技術的範囲に属すると認められるものの、~被告らによる被告システムの日本国内における生産は認められず、被告らが本件発明を日本国内において実施したとは認められないから、被告らによる本件特許権の侵害の事実を認めることはできない。」と判示されました。
これに対し、第2審(知財高判 R5.5.26)では、「ネットワーク型システムの発明に係る特許権を適切に保護する観点から、ネットワーク型システムを新たに作り出す行為が、特許法2条3項1号の「生産」に該当するか否かについては、当該システムを構成する要素の一部であるサーバが国外に存在する場合であっても、①当該行為の具体的態様、②当該システムを構成する各要素のうち国内に存在するものが当該発明において果たす機能・役割、③当該システムの利用によって当該発明の効果が得られる場所、④その利用が当該発明の特許権者の経済的利益に与える影響等を総合考慮し、当該行為が我が国の領域内で行われたものとみることができる ときは、特許法2条3項1号の「生産」に該当すると解するのが相当である。」と判示されました。

引用出典1知財高判R5.5.26「コメント配信システム(ドワンゴvsFC2ら)事件」
令和4(ネ)10046 特許権侵害差止等請求控訴事件 特許権 民事訴訟
令和5年5月26日 知的財産高等裁判所 東京地方裁判所

引用出典2海外サーバに日本の特許権の効力が及ぶか ―ドワンゴ対FC2事件知財高裁大合議判決―

板書知財高判R5.5.26「コメント配信システム事件」


教室、講義の収録に際し、LEC東京リーガルマインド 新宿エルタワー本校様にご協力いただきました。 弁理士などの資格取得を目指す方、ぜひアクセスしてみてください。
⇒LEC新宿エルタワー本校HP